コロナ禍最大の勝ち組であるアマゾンに投資しても儲からない理由
しげるです。
新型コロナウイルスの大流行による株式市場の急落は、前例がないほど投資家の忍耐力が試されるものとなりました。
しかし、この混乱とその後の株価上昇の中で、いくつかの企業は他社に抜きん出る成果を挙げました。
その中で最も優れていたのはeコマース大手アマゾン・ドット・コムかもしれません。
コロナ禍最大の勝ち組アマゾン
アマゾンは今年、目覚ましいパフォーマンスを挙げています。
特に同社の時価総額が1兆3,400億ドルで、米国の上場企業で3番目の大きさであることを考えればなおさらです。
年初から6月29日までの間に45%上昇しており、S&P500指数を50%ポイント、アウトパフォームしました。
アマゾンはコロナ禍による主要な受益者となっています。
実店舗での買い物ができない中で、同社はオンライン販売の急増による恩恵を受けています。
そして、アマゾンは旧来の企業とは全く違います。
同社は営業キャッシュフローの大部分を再投資し、中核事業の成長、イノベーション、新事業の拡大を進めています。
アマゾンは米国全体のeコマースの約40%を支配していると言われています。
同社は間接費を削減し、利便性と物流について再考することで、小売業界を完全に変えました。
一般に小売業の利益率は極めて低いのですが、アマゾンはプライム会員制度を利用して成長を推進してきました。
同社は今年、プライム会員の人数が世界全体で1億5,000万人を超えており、現在のコロナパンデミックで2億人に迫る可能性が高いと発表しました。
プライム会員制度は、利益率が高いだけでなく、ユーザーを同社の商品・サービスのエコシステムにとどめる上で完璧な役割を果たしています。
時価総額は今後4年以内に3兆円を超える可能性も
アマゾンの適切なバリュエーションを判断する指標としては、株価/営業キャッシュフロー倍率をみることがよいです。
ウォール街の予想によれば、アマゾンは今後数年間にわたり、膨大な金額の営業キャッシュフローを生み出すとみられます。
株当たり営業キャッシュフローのコンセンサス予想は以下の通りです。
2020年:85.73ドル
2021年:106.80ドル
2022年:126.50ドル
2023年:201.30ドル
過去10年間、アマゾンの年末時点の株価/営業キャッシュフロー倍率は23~37倍でした。
つまり、平均的なバリュエーションは約30倍です。これを2023年末まで維持した場合、株価は6,039ドル、時価総額は3兆100億ドルとなります。
株価が従来のバリュエーションの範囲内で推移さえすれば、アマゾンは初の時価総額3兆ドル超え企業となるのです。
しかも、それが今後4年間で起きる可能性があります。
投資家にとっては割高すぎる
しかし、投資家目線で言うとアマゾンは割高すぎます。
今年のコンセンサス予想利益に基づく株価収益率(PER)は142倍、2021年予想PERは72倍です。
15倍を超えると一般的に割高と言われている中で、とんでもない割高な指標となっています。
こうした企業に投資することを推奨する人は、結果論だけを見て、
「去年からアマゾンを持っておけば、今頃キャピタルゲインで大幅に稼げていた。」
「アマゾンのようなグロース株はまだたくさんあるはずだ。」
「ハイテク株には夢がある。ポートフォリオはハイテク関連で分散投資するべきだ。」
と言う人がいます。
無論、それらをすべて否定するつもりはありません。
しかし、大部分の投資家にとってはアマゾンのような割高株に今から投資するメリットは薄いと言えます。
また、グロース株を探すと言っても、一個人投資家が市場を出し抜いて、今後成長する優良株を見つけ出し、多額の投資をすることを決断できるでしょうか。
さらに、現在のコロナ禍におけるハイテク関連株の成長だけを切り取って、同一セクターに投資することの危険性を十分に認識する必要があると思います。
時代の流れに乗って投資をすることは間違ってはいません。
日々上がる株価に心躍る気持ちも分かります。
しかし、あなたのパフォーマンスが右肩上がりになるかというのは別の話です。
皆が時代の流れに乗れば、それがスタンダードになり、急激な成長は見込めなくなります。
そして、ピークアウトした株価は何かのきっかけで急落し、投資家は甚大な損失を被ることになります。
優秀な投資家は市場が一つのセクター、一つの銘柄に熱狂しているときも自身の決めた戦略を守り通し、淡々と投資活動を行うべきであり、他人の動きに合わせて行動するべきではありません。
それでは。
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茂(しげる)

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