投資に男女差はあるのか 男性のほうが有利?
しげるです。
2000年代以前は、株を購入する際は、証券会社の窓口に行って担当者とやり取りしたり、電話で買付注文をすることが普通でした。
投資に関する専門書なども小難しいものが多く、日本だとバブル崩壊も相まって投資に対する印象が悪く、多くの人が投資をしている人を遠巻きに眺めている状況だったはずです。
しかし、近年はインターネットの発達により誰でも企業や市場の情報にアクセスでき、様々な年代の人にとって投資がとても手軽で身近なものになりました。
未だに株式保有率は圧倒的に60代以降が高いですが、今では30代以下の若年層と呼ばれる我々のような世代が、将来への不安から金融リテラシーを高め、積極的に投資と資産形成を行うようになってきています。
それ自体はとてもいいことだと思います。
これからの時代、投資をして資産形成している人と現金貯蓄だけをしている人では将来圧倒的な差が出ることは周知の事実です。
さて、ここでしげるは最近一つの興味が湧きました。
それは、「年齢によるパフォーマンスの影響はよく議論されるが、男女の性別の差が投資のパフォーマンスに与える影響はあるのか」ということです。
女性は投資に向いていないのか

漠然と、女性は投資に向いていないと考える人も多くいるのではないでしょうか。
なぜなら、男性は論理的、女性は感情的であるというバイアス(偏り、思い込み)がかかっており、感情に左右されることが最も致命的になり得る投資行動において、女性のほうが不利になるのではないかということが社会的通念になってしまっているからだと思います。
実際に一昔前にある証券会社で、女性客の株の信用取引はなるべく受けないように指導があったという話があります。今なら完全に男女差別で訴えられることですし、コンプライアンス上もあり得ないと思いますが、本当にそういう時代があったのです。
しかし、アメリカでは、実は女性は男性に比べ、資産運用において優れたパフォーマンスを出しているという調査結果があるのです。
アメリカのカリフォルニア州立大バークレー校のファイナンスの教授であるテレンス・オーディーン氏は、1991年から1997年の約6年間にわたって3万5千件を超える顧客を対象に資産運用における男女のパフォーマンスの違いについて調査を行いました。
そして2001年に「Boys will be Boys」という論文で男性よりも女性の方が資産運用のパフォーマンスが優れていたという事実を発表したのです。
調査によると、男性は女性よりも頻繁に金融商品の売買を行うため(およそ4~6割も男性のほうが多く取引をしています。)取引コストがかさみ、結果的に女性の運用成績が男性よりも年率1.4%良かったと報告しています。
さらに、独身の顧客の場合は、女性の方が男性よりも平均年率2.3%も運用成績が良かったという結果になりました。
この調査結果が全てだとは思いませんが、投資の成績に男女差があるという結論はいかに馬鹿げたことだということが分かります。
男性は自信過剰

先の調査を行ったテレンス・オーディーン氏らは、このような資産運用パフォーマンスの男女差を「行動経済学(行動ファイナンス)」によって分析しています。
行動経済学とは、人間は感情に左右されるため、必ずしも合理的な行動をとるとは限らないという立場から、人の選択や判断を究明する学問です。
この分野において、一般的に、女性よりも男性の方が、自分の判断に自信を持ち過ぎる「自信過剰」の傾向があるとされています。
さらに競争原理から、男性は女性よりリスクを積極的にとる(リスク愛好家)とも言われています。
そのため、他人の意見を聞かずに大きなリスクをとって投資を行った結果、大損し市場から消えていく男性も多く存在します。
しかし、運用パフォーマンスの良し悪しは、個々人の投資経験や金融リテラシーなど様々な要因が影響するため、女性の方が男性よりも資産運用に向いているとは断定できません。
この論文では、男性でも女性でも十分な自制心を持つことでマイナスの影響を軽減できるはずなので、投資適性の男女差が絶対的に固定されたものだと述べているわけではありませんが、女性が投資に取り組むうえでちょっとヤル気がでるものだと思います。
まとめ
しげるはこのブログを自分と同じ属性である30代サラリーマンに向けて運営していますが、無意識にその対象を「男性」と決めつけていたかもしれません。
なぜなら自分が男性であることはもちろん、30代と言えば結婚・出産で時短勤務や退職を余儀なくされ、結果的に配偶者である夫の給料に依存してしまう女性が多く、そういった女性たちは日々の子育てや家計に追われ資産形成は二の次になってしまっているのではないかと偏った考えを持ってしまっていたからです。
これは大いに反省すべき点です。
現代では女性の就業機会が増え、パワーカップルと呼ばれる夫婦で高年収を稼ぐ世帯や、DINKS世帯が増えたことにより女性の可処分所得も一昔前とは違います。
参考記事「世帯年収1000万円超のパワーカップルは資産形成において最強なのか。」
そうであれば当然、妻も夫に頼らず自らの将来の資産形成をする考えに至るのは当然ですし、そうでなければなりません。
ということで、今後は偏った考えを自分の中から捨て、30代のすべての働く男女をメインとしてブログ運営をしていきたいと思います。
それでは。

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茂(しげる)

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