家計における現金保有率は資産の何%が適切なのか
しげるです。
「日本人は貯蓄が大好き」なんて言われています。金融庁は「貯蓄から投資」の流れを作ろうとしていますが、なかなか進んでいないのが現状です。
日本人の家計の金融資産構成において、53.3%と半分以上が「現金・預金」として保有しているというデータがあります。
実際のところあなたの家計における現金保有率は何%か計算したことはありますか。
この記事では、適切な現金保有率は何%なのかをしげるの考えを書いていきたいと思います。
現金保有率は日本53.3%、米国12.9%、欧州34%

日銀の調査統計局が出している資金循環統計によると、家計の金融資産構成のうち、現金保有の割合は日本53.3%、米国12.9%、欧州34%と圧倒的に日本が高い結果となっています。
一方、株式・投資信託は日本13.9%、米国46.3%、欧州27.6%となっており、圧倒的に低いです。
データで見ると一目瞭然ですが、日本人は資産を投資をするよりも現金で保有する人が大多数を占めていることが分かります。
欧米諸国は幼少期よりお金に関する知識を親や学校から教わるのに対し、日本ではお金に関して子供が学ぶことをどこか後ろ向きに捉える風潮があります。
「子供がお金の心配をするな」「お金のことばかり話して卑しい奴だ」など、親から言われたことがありませんか。
これが日本人が何も意識せずに貯蓄のみをする要因の一つなのではないかとしげるは思うわけです。
しかし、今多少なりともお金に対する知識が増えてきて思うのは、このまま貯蓄だけをしていたら、資産形成はおろか老後も危うくなってくるということです。(老後2000万円問題についての記事はこちらをご覧ください。)
しかし、現金貯蓄が悪いと言っているわけではなくて、必要なタイミングで必要な分の現金というのは必ず持っていたほうがいいです。
貯蓄はまったくしなくていいのか

貯蓄はまったくしなくていいのか。と言われたら、そんなことはありません。
よく投資をしている人が、現金は生活費の3か月〜半年分あれば十分で、残りは投資に回すべきと言っていたりしますが、しげるはそうは思いません。
なぜなら、ライフイベントの発生タイミングによって多くの現金が必要になる場面があるからです。
独身であれば、大きな出費は、(将来結婚する場合は結婚費用)住宅の購入、車の購入、親の介護費用などが考えれます。
結婚していて子供がいる場合は、上記に加えて子供の教育費や習い事が考えられます。
例えば、結婚していて子供が10歳、月の出費が30万円、現金で500万円貯蓄しているAさんがいたとします。投資に興味を持ったAさんは、生活費3か月分の90万円を残して、残り410万円は投資信託を購入したとします。
このタイミングで子供が私立の中学に入りたいと言い出した場合、塾代で数十万円、合格した場合の入学金+授業料で数十万〜の数百万円の現金が必要になります。
しかし、1年後に、運の悪いことに購入した投資信託はコロナ級の全世界規模の不況のあおりを影響を受けて基準価格を大幅に下げ、Aさんの投資信託の資産額は410万円から300万円となっていました。
この場合、景気が回復する見込みがあって余裕資金があるのならば買い増すという選択肢もありますが、Aさんは子供の私立中学校入学を踏まえ、目先の現金が必要で投資信託から100万円ほど売ることにしました。いわゆる損切の形です。
上記の例は決して珍しい話ではなく、子供をお持ちのご家庭なら誰でも起こりうる事です。
株や投資信託は現金に変換しやすい流動性の高い資産ですが、下落リスクも孕んでいます。長期投資を前提とした場合は下落リスクは許容できますが、目先の現金が必要になった場合には自らの資産を大幅に減らすことにつながってしまいます。
そのため、あなたや家族のライフイベントや想定しうる事柄を意識しつつ現金保有額を決めたほうがいいと思います。
しげるの場合は、1,250万円の資産のうち、現金を750万円保有しておりますので、現金保有率でいうと60%と高めです。(株式の保有率は30%でした。)しかし、直近でマイホームの頭金や新居の家具・家電等の支払いがあることが分かっているため、ある程度まとまった現金を手元に置いておきたいというのが理由です。
したがって、それらの支払いが終わった後の現金保有率は35%程度になる予定です。
前述したとおり、それぞれの家計の状況にもよりますが、現金保有率が50%を超えている場合は、直近の現金支払いがない場合を除き、一つの目安として30%程度を目指していくのは悪くないかと思います。
しげるの最新の資産形成状況はこちらの記事をご覧ください。
日本人は貯蓄が好きなわけではなく、お金に関する知識がない
以前の日本では、銀行に現金を預金していればお金が増えました。1980年には普通預金の利子が約3%、1990年には定期預金の利子がなんと約6%もあったのです。
なにも考えずとも、「銀行に預けてさえいれば利子がついて勝手にお金が貯まっていくし、銀行が潰れる心配なんてないから安心だ」というのが大半の人の思想でした。それを後押しするように政府も銀行に預けるような政策を行なってきていました。
この時代を現役で過ごしてきた世代は「現金は預金するもの」という風習が定着してしまっており、労働人口が多かった団塊の世代がそれに該当しますから、日本中にそのような意識が根付いてしまったものと考えられます。
現代はゼロ金利政策が長い間続き、定期預金の金利は高くても0.27%、メガバンクに至っては0.002%となっており、現預金をしてもお金は増えません。
むしろ、ATMから引き出す時に一回でも手数料を取られたら元本割れしてしまいますので、なにがなんでも現金派の人はタンス預金してたほうが利口です。
しかし、現金派の人たちはもう一度考え直したほうがいいです。
日本が資本主義であり、国際化の恩恵を受け続ける限り今後もインフレは避けられませんので、モノの値段は相対的に上がり、手持ちの現金の価値は相対的に下がり続けます。
つまり現金しか保有していない人は将来貧乏になることが確定するわけです。
こういう時代に生まれてきたことを正しく認識しないと思考停止して貯蓄だけを行い貧乏になる未来しか待っていません。
我々が意識しなければいけないのは、ファイナンシャルリテラシー(お金に対する知識)を高めることですが、今まで何もしてこなかった人たちにいきなりそれを言っても響くわけがありません。
なので、そういう人は、身の回りのできることから始めることをオススメします。
例えば、毎月の家計の収支、資産額を確認して紙に書く、妻と共有する、経済のニュースを見ることなどです。もちろん一番いいのは、投資を実際に始めることです。
しげる自身も実感しましたが、投資をし始めると世界経済や日本経済、自分の家計をとても意識するようになり、様々な情報を収集するようになりますし、理解できるようになってきます。
これでファイナンシャルリテラシーが高まらないなら少しヤバイレベルです。
様々な優良な情報に瞬時にアクセスでき、投資に対する知識をつけやすい今の時代だからこそ、資産形成は容易なはずです。
あなたの家計に眠らせている貯蓄を投資に積極的に振り向けて、これからの時代を一緒に乗り越えていきましょう。
それでは。

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茂(しげる)

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